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7.モニタリング・視察結果


7−2.【スリランカ】「ハンバントッタ県における生活改善支援事業」:JEN

  • 調査日:2005年6月2日(木)、3日(金)、4日(土)、5日(日)、10日(金)
  • 調査団体名:特定非営利活動法人JEN
  • 記入者:桑名恵、児玉光也
  • 調査国・地域:スリランカ国ハンバントタ県
  • モニタリング方法(聞き取り、訪問等):
    日本人スタッフ、ローカルスタッフ、パートナーNGOスタッフ受益者へのインタビュー、活動サイト訪問
  • 面談者:
  1. 田仲愛氏(JEN日本人スタッフ・プロジェクトマネージャー)@コロンボオフィス
  2. Mr. Gunasena JD(Admin/Logistic Officer)@コロンボオフィス
  3. Mr. Riddley Jayasinghe(National President)@Sri Lanka Association of Professional Social Workers
  4. Mr. Kulasiri(JENローカルスタッフ・プロジェクトオフィサー)@ハンバントタ
  5. その他JENローカルスタッフ
  6. Mr. Riddley Jayasinghe(National President)@Sri Lanka Association of Professional Social Workers
  7. その他SLAPSWスタッフ
  8. JENプロジェクト受益者
  • 調査・訪問箇所:
  1. JENコロンボオフィス
  2. JENハンバントタオフィス
  3. セワランカ・ハンバントタオフィス
  4. JENプロジェクトコミュニティ:レカワ村、ウエロダヤ村(ロープ)、ハンバントタ西(魚網)、シシラサガマ村(野菜、児童課外活動、カウンセリング)

1.事業目的

津波被害で家族や住居、家財を失い、精神的ダメージを受けたハンバントタ県の住民に対して、1)職業訓練、2)児童課外活動、3)グループ・カウンセリングの3つの活動を通して生活改善支援事業を行う。また被災者が生活を再建する上で、復興するために必要な前向きな力を取り戻す。また、グループ・カウンセリングを通して、被災者同士で互いの経験を共有し、仲間意識を高め、グループ作りを促す。


2.現地事情:(プロポーザルから抜粋)

現在ハンバントタ県では、道路上の瓦礫の撤去は進み、交通などアクセスは大分改善された。それ以外には、津波の被害で住居を失った被災者のために、支援団体によるシェルター建設事業が進んでいる。既に、3,545軒分の仮設住宅と3,380軒分の恒久的住宅の建設が支援団体に振り分けられており、一部の仮設住宅は完成している。JENは、避難先からこれらの新しい住居に移る被災者に対してジャパン・プラットフォームの資金により「スマトラ島沖地震支援:ハンバントッタ県における緊急生活用品配布事業」を行っている。

今回の津波の発生により、漁業に従事していた多くの被災者は、家族、家財だけでなく、生活に必要なボートや魚網を失い、収入源が断たれてしまった。また、被災者は、職を失い、することがなくなってしまったため、喪失感、無力感を覚え、新しい生活を立て直す前向きな気持ちを取り戻すのが難しい状況にある。


3.事業概要:

  • 支援内容:1.職業訓練、2.児童課外活動、3.グループ・カウンセリング
  • 支援対象者:計10の被災コミュニティ被災民2000世帯(約10,000人)
  • 支援対象地:ハンバントッタ県11郡中4郡(タンゴール郡、ティッサマハラマ郡、アンバラントッタ郡、ハンバントッタ郡)

4.第一期との変更点、改善が必要と思われた点等

第一期では、津波被害で住居や家財を失い、ハンバントッタ県の被災した住民2000世帯に対し、日用品を配布することで、最低限の生活基盤の回復を支援することが事業目的とされた。
第二期では、被災者が生活を再建する上で役立つ技術を学び、自ら行動し、物を作ることによる達成感を通し、復興するために必要な前向きな力を取り戻すことが事業目的である。
支援業務内容、方法の変更にともない、パートナーNGOがセワランカからSri Lanka Association of Professional Social Workers(SLAPSW)となり、さらに対象コミュニティ・数も変更された。


5.変更申請されたプロジェクト(詳細は支援プロジェクトに記入)

前・後半各4村ずつ、ココナッツロープと魚網作り事業を行っていたが、前期終了時に受益者から出た評価や課題を検討し、後期事業に反映させる為に時間を取った。また機材移動や受益者選択など、後期事業への準備期間が当初の事業計画より長引いた為、1ヶ月の期間延長。


6.モニタリング所見

  1. プロジェクト所見
    • 第一期から第二期にかけて情報収集がなされ、的確にニーズが把握された。精神的ケアと職業訓練という二つの活動は、独立して実施されることなく、組み合わせて行われることで相互補完的に作用し、対象被災民の連帯感を生みつつある。
    • 職業訓練活動では、地域で行われていた生産活動のノウハウの集積・指導を通して、コミュニティ内で情報の共有化を図るなど、システマティックに体系化し、導入したことで、住民参加の度合いは高く、期待が高まっている。今後のプロジェクト活動継続の計画がよく練られた上で、今事業をパイロットフェーズとして位置づけ、今時点では限られた対象被災民コミュニティに対して、必要物資の購入、調達、訓練、生産までがなされている。今後は製品展示、マーケティング活動を取り入れての生産物の販売路確保など、活動の拡充、及び他地域へのスケールアップがプロジェクトの課題となる。
    • 大災害後の精神的ケアの必要性は従来から指摘されている。精神的ケアを主眼においた本事業は、地元スリランカの専門家グループ(SLAPSW)と連携し、カウンセリング活動を行うことで、厳しい生活を強いられている人々の期待に応える有益な事業であるといえる。しかしながら、この分野の支援については、長期にわたってのモニタリングが必要であり、息の長い活動が伴われなければならない。今後は、現地の専門家や保健師、また被災地コミュニティの中心的な人物など精神的ケアの為の組織作り、ノウハウの教授を行い、被災民が専門家に依存することなく、自主的に活動を継続していくための土台作りが課題となる。


  2. 必要なアクション、是正措置
    • 本事業はソフト支援事業であり、総事業費におけるプロジェクトの直接経費割合が低く、事務所維持費、通信費などの経費分が多い。プロジェクトの費用対効果の視点から、適正な間接費規模を考慮していく必要がある。
    • 人員の面では、プロポーザルではコロンボに6名、ハンバントタに8名(心理学専門家、ソーシャルワーカー、インストラクター除く)を配置計画していたが、モニタリング実施時点では、コロンボに3名、ハンバントタに5名であった。プロジェクトサイトの状況が不明瞭な災害直後の緊急時とは異なること、またJENにとっては本事業が第一期事業と同じ対象地支援を行っていることを考慮すると、より的確な人員配置計画が望まれる。
    • また一方で、本業務は短期間集中型の事業である。健康・労務管理の面から、時期によっては激務が予想されるコロンボのプロジェクトマネージャー職およびファイナンスオフィサー職には増員することが求められる。(モニタリング終了後に、ファイナンスオフィサーが派遣された。)
    • 今次事業計画と長期的事業方針を整理されないまま、プロジェクトプロポーザルが作成されている。事業計画作成時および審査時に、事業実施者と審査側により、プロジェクトオフィスや固定資産など適切な投入量の整理・確認し、検討する必要がある。


7.総括

  • 当団体は、コロンボとハンバントタの二箇所にオフィスを設け、今緊急支援事業のみならず、長期にわたるスリランカでの活動実施の為の戦略拠点として位置づけている。
  • 本事業は、第一期から継続して、コロンボから片道7時間かかる、支援が届きにくいハンバントタをプロジェクトサイトとして選定し、被災後のニーズが極めて高い精神的ケアを主眼においた職業訓練・生活向上を支援している。難しいプロジェクトにも拘わらず、活動状況は概ね良好であり、住民からの期待も高い。今後の継続的な活動展開が期待される。
  • 業務実施に当たっては、第一期、第二期共に、ローカルNGOと提携しており、また事業内容によってパートナーNGOを戦略的に変更している。現地の経験やノウハウ、人的資源、ネットワークを最大限に活用しているといえる。

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