※以下の事業要素を総括的かつ具体的 ニ記述してください。
2月2日付けジャカルタ新聞では、アチェ州災害対策本部発表として同日現在遺体埋葬数約11万人、行方不明者約12.8万人、18県に66ヶ所の避難所があり、難民数が約41.2万人、避難所以外の難民が約26万人と報道されている。
離散した家族が多いが、公に発表された避難民数から平均的に一家族5人構成と考えると避難家族は8万家族となる。また、避難は免れてもラジオを含め家財道具を失った者も統計数字情報は得られないが、相当数に上る。因みに2月4日付ジャカルタ新聞では避難所以外に親戚、友人、知り合い宅に避難している人々は約26万人に上ると報道されている。
約40万人の避難民は着の身着のままの状態である。働き手のほとんどは職がなく将来に対し不満な毎日を過ごす家族、親、兄弟、配偶者、子供の安否がわからない家族、家族や親戚、知り合い、友人の安否を心配する人々はマスメディアを通して情報を得る機会はほとんど持ち得ない。このため、こうした家族、人々にAM・FMラジオ受信機を配布することで不明者の安否情報、支援情報、社会・政治経済情報、教養番組、娯楽番組を聞くことで不安、ストレスを軽減できる。一方、学校、教師、級友を失い勉強するチャンスを失った子供達も多い。一挙に肉親を奪われ、無数の死体の中で暮らしたことがトラウマとなっている。 ラジオ放送が学校へ通えない子供たちに対し教育番組や物語・音楽番組で心の傷を癒してくれる。
一家族平均5人構成とすると8万台のラジオ配布のニーズがあると推定される。
今回計画の配布先地域と台数はBand Aceh市から東100km離れた東海岸沿いのSigli市を中心としたPidie地区に2,000台、更に東へ100km離れたBireuen市に1000台、合計3000台のラジオ受信機配布を予定する。
地震・津波発生前のAceh州ラジオ放送送信所は、FM局23局以上、AM局で17局以上が運営されていた。 損害を受けた送信所の復旧計画は急ピッチで進んでいる一方新規送信所の開局も進んでいる。Banda Acehではすでに6局のFM局が開局し、情報通信省ではこれ以上は認可しない方針である。また、Banda Acehで損害を受けた中波送信所も日本政府無償援助で復旧される予定で調査が進められている。 以下に述べるようにラジオ配布はMuhammadiahという民間団体を通じて行うが、同団体ではBand Acheで同団体が建てた大学の学生を中心に外国NGOの資金支援で1月中旬にFM放送局を開局した。又、西海岸ムラボー市においても同様にFM放送局の運営を開始した。
これまで、ラジオ配布の支援情報は、2月初旬情報通信省を訪問した際に松下インドネシアが1000台、Muhammadiahを訪問した際に同団体がBanda Acehで1月に1000台、BHN調査チームが2月12日Banda Aceh郊外の避難所を訪問した際に台数は不明だが、ドイツが配布したとの情報を聴取した。 これらがラジオ配布の全て情報とは思わないが、聞いた範囲での配布数がせいぜい1,000台と極めて限られているのでラジオのニーズは高い。
ラジオの配布数はBanda Acehに創立したMuhammadiah大学の学生の応援も得て3、000台の配布とした。配布計画台数は、先にジャカルタ、Banda Aceh入りしたBHN調査員がMuhammadiahと協議し、決定した。被災地域の全体配布計画のMuhammadiah意見は被害の多い地域に偏り気味であったが、国際支援がBandaAceh市及びその周辺に集中している状況に鑑み、BHNの意見として援助が少ないSabang島、Simeulue島、Nias島にも援助の手を差し伸べることと、島以外で、陸上でアクセスが難しい西海岸地区のAcehJaya地区は今回は支援の対象からはずすことで地域を絞り、配布対象とするアチェ州、北スマトラ州被災地域の各地区や都市の避難民は221,105人、推定家族は44,221世帯に達する。その結果、2月21日評議会の審査対象として提出した事業計画書では世帯の約半数を対象とする22,500台を以下の如く配布部隊を4チーム編成による配布計画を立案した。
(第一配布隊)
配布総数:5,500台
配布地域:Pidie地区(4,000台)、Bireuen市(1,500台)
(第二配布隊)
配布総数:4,500台
配布地域:Banda Aceh市(2,000台)、Sabang島(1,000台),Simeulue島(1,500台)
(第三配布隊)
配布総数:6,000台
配布地域:Aceh Barat Daya地区(2,000台)、Nagan Raya地区(1,000台), Aceh Barat地区(3,000台)
(第四配布隊)
配布総数:6,500台
配布地域:Aceh Timur地区(1,500台)、Aceh Utara地区(4,000台), Niqs島(1,000台)
しかし、一度に上記数量全量を配布する作業の困難さ、リスクの大きさに鑑み、今回は本格展開に備えたパイロットプログラムとして位置づけ、第一配布予定のPidie地区、Bireuen市に限定配布する。 それによりラジオ配布のノウハウ、被災状況情報を蓄積することで次の本格展開の計画、実施につなげて行く。
今回のラジオ配布台数はラジオメーカーとの折衝で単価調整を行ったため、現時点
確保可能な3,000台を配布することにしたい。添付IIIは前回配布計画の中で今
回の計画を示すものである。
配布方針:
・ 裨益者の状態: 家、家財道具を失った避難民を対象するが、その中でも親戚、友人等を頼れない避難民を配布対象とする。
・ 配布対象者: Ministry of Social Affairs of Republic of Indonesia、Departmen Sosial発行の2月10日現在の避難民情報ではAceh州、北スマトラ州の避難民が424,854人に達している。この内、アクセスが困難な地域は配布対象からはずし、国際支援が薄いと言われている地域入れる等をMuhammadiahと協議して配布対象として絞り込んだ地域、町の避難民は、150,259人に達する。今回は第一段階としてBanda Aceh市から
100km離れた東海岸沿いのPidie地区避難民38、697人と更に東へ100km離れたBireuen市避難民17,041人の計55,738人を配布対象とする。(添付III参照)
・ 配布地域と台数: Banda Aceh市はアチェ州へのアクセス ポイントである所から被災支援の手が届き易い環境にあり、支援物資が殺到している。 従がい、今回はBanda Acehから離れ、被害が大きく避難民が多い東海岸沿いPidie地区(避難民38、697人)とBireuen市(避難民17,041人)に絞り、メーカーで本支援用振り向けるために保管されている在庫3000台を配布する。配布先場所の地図は添付IIIの通りである。 更なるニーズが見込まれる場合は第ニ段階支援計画に組み入れ別途支援計画を立案し、申請する
・ 配布広報: 日本大使館より配布スケジュールが決まった時点でRRI(国営ラジオ放送局)通じて被災地に配布に関する繰り返しの放送をお願いする。 Aceh州全体の固定電話網はPTテレコムの手で復旧が進められ、2月末には緊急復興計画は終了予定で、通信担当JICAエキスパートの方の話しでは津波前に近い状態にまで復旧されるとの情報ゆえMuhammadiahのBanda Aceh本部から配布先に予定されている地域内の
Sigli市にある同団体事務所に事前配布計画を伝え、そこから現地行政に協力を行い、公共の場所、避難民キャンプ、学校等の人が集まる所に掲示するなり、口コミなりで該当避難民に情報が伝わるように計る。又、Muhammadiahに同地区にあるAMラジオ民間放送局、FM放送局に事前及び当日の配布放送を依頼する。
・ 配布体制: 配布隊が配布先地域, Pidie地区の中心都市Sigli市及びBireuen市に到着同時に難民キャンプや避難所になっている学校等の避難所所在地を明らかにする。難民キャンプはキャンプ責任者、学校などは校長にアテンド要員の派遣、難民情報提供の協力、援助を得ながら、難民キャンプ、学校或いは地域行政事務所等で借りられる大きな敷地内に配布受付場所を設け、受け取りに来た避難民に避難民であることを確認しながら、ラジオと乾電池2個を手渡し名前・歳・性別を記録して行く。 因みにMuhammadiahは各地に数多くの学校や病院の建設、運営を行ってきており、津波被災者の支援も行っている。地域での物資配布のノウハウ、ネットワークを持っているのでラジオ配布にも活用できる。
現地事情によっては、避難所にこちらから赴いて配布することもあり得るのでその場合も地域行政、キャンプ責任者や学校校長にアテンド要員の派遣、難民情報の提供協力、応援を得ながら家族或いはテント毎にラジオを配布、記録して回る。
配布後モニター: 配布後、モニターチームをラジオ配布場所に派遣する。寄贈したラジオを持参した人に乾電池2個を支給することによって寄贈したラジオが手元にあることを確認する。
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