2016年2月29日~3月4日、「INEE教育ミニマム・スタンダード・トレーナー養成研修」を米国・ワシントンD.C.にて開催
イベントレポート
Session13: Planning and Facilitating an INEE MS Training
「準備が命!-効果的な研修を計画するには-」
研修4日目が始まりました。そもそも本研修は、参加者が自国でトレーナーとなってINEEミニマムスタンダード(以下、INEE-MS)についての研修を行えるようになることを目的としたToT(Training of Trainers)であり、後半の4日目と5日目は、Trainingのスキルを学び実践するセッションが組まれていました。
本日、その4日目は3日目の復習(Recap)から始まりました。この復習アクティビティは、参加者が毎日1人ずつ担当しているのですが、この日は私が担当でした。「できるだけクリエイティブで参加型のセッションが良い」とファシリテーターに言われていたので、プレッシャーを感じつつも頭をひねりました。各テーブルに、3日目に扱ったテーマと簡単な質問を書いたカードを置き、誰かがボールを投げ、受け取った人のいるグループが、その質問に答えなければいけないというアクティビティを取り入れました。
実際にやってみると大正解。眠そうだった参加者もボールを投げたり受け取ったりしているうちに目が冴え、昨日の主なポイントも軽快に復習できました。そして、アクティビティ終了後、4日目最初のセッションに突入しました。
本セッションでは、実際にINEE -MSに関する研修を実施する際の計画方法について学びました。まず、研修モジュールやファシリテーターガイド等は既にINEEによって開発され、ウェブサイト上(http://toolkit.ineesite.org/)に公開されている旨、説明がありました。このため、自身でモジュールを全て開発する必要はありませんが、実施する国や地域の実情に合わせて研修モジュールの内容を調整することが重要です。
アクティビティでは、参加者がグループごとに分かれ、研修計画時に留意すべき点(①参加者の選定、②ファシリテーターの選定、③研修内容、④ロジスティクス、⑤セッションの組み立て)について、それぞれフリップチャートに考えをまとめました。その後、他のグループが考慮しきれていないポイントを書き足す作業をしました。このアクティビティを通して、研修を計画する際に考慮すべきポイントが沢山あることを再確認するとともに、研修の準備過程においては、複数人が関わり、抜けているポイントがないか確認しあうことが重要だと感じました。
- その後、研修の計画のための6つのステップを学びました。
- ①研修の目的を決める。
- ②参加者に対する長期的な戦略を考える。
- ③INEEウェブサイト(http://toolkit.ineesite.org/)から参加者に最も適しているモジュールを選択する。
- ④研修モジュールを参加者のコンテクストに合わせて調整する。
- ⑤アクティビティや必要な備品、主なメッセージ、ファシリテーターの名前を明記したセッションプランを決める。
- ⑥評価フォーム(アンケート)を作成する(今後の研修の改善、ドナーへの報告等に活用するため)。
本セッションを通して、研修を計画・実施するための具体的なステップや考慮すべきポイントを学ぶことができました。今後、日本や海外でINEE-MSの研修を計画する際には、これらのポイントを念頭に入れて、質の高い研修を準備できるようにしたいと思います。
村松 良介
(特活)ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)
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イベント概要
ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」(※)の一環として、「INEE教育ミニマム・スタンダード・トレーナー養成研修」を、来年2月29日~3月4日の日程で米国・ワシントンD.C.にて開催します(共催:米国NGO団体Mercy Corps)。
これは、昨今の世界情勢や緊急人道支援の性質と傾向、また以前よりJPF加盟NGOから寄せられていたトレーニング開催への高い要望を鑑み、JPFが教育分野における国際的なミニマム・スタンダード(INEE)についての学習機会の提供を模索してきた結果によるものです。
本研修参加者は研修終了後、トレーナーとして年度内に日本にて約2日間の研修を実施していただくことになります。よって、緊急教育支援に従事した経験を持ち、かつ日本での普及活動に意欲的な方を対象に開催すべく、研修内容や参加者の応募資格、条件等については鋭意調整中です。詳細決定次第、随時ご案内いたしますが、ご関心のある方は直接下記窓口までお問い合わせください。
INEE教育ミニマム・スタンダードとは:
緊急教育支援の情報ネットワーク(Inter-Agency Network for Education in Emergency : INEE)が策定した緊急時の教育におけるミニマム・スタンダードです。INEEの運営には、UNHCE、UNICEF、UNESCO、USAID、World Vision Internationalなどが入っており、国際的に認知されている基準です。本スタンダードは、ハリケーン・台風・地震・洪水などの「自然災害」と紛争や内戦によって引き起こされた「複合的な緊急情勢」に緊急的に対応するために設計されており、現在170ヶ国で使用されています。
参考:
INEE
http://www.ineesite.org/en/
INEEミニマムスタンダード
http://toolkit.ineesite.org/toolkit/INEEcms/uploads/1012/INEE%20MS%20Japanese_2010.pdf
内閣府HP:緊急時の教育のための最低基準とは
http://www.pko.go.jp/pko_j/organization/researcher/atpkonow/article033.html
※「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」について:
「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」とは、米日カウンシル(US-Japan Council)主導のTOMODACHI イニシアチブ、ならびにJ.P.モルガンの支援を受け、JPFが米国のNGO団体マーシー・コー(Mercy Corps)とのパートナーシップのもとに実施している研修事業です。東日本大震災におけるNGOの支援活動から得られた貴重な経験や教訓を活かし、日本のNPO/NGOが国内外でより効果的な人道支援活動を行うための能力強化を目的としており、2013年4月~2016年3月までの3年間で、人道支援に関するさまざまな研修を計画、実施しています。
研修概要
- 期間
- 2016年2月29日(月)~3月4日(金)
※この日程には、出発・帰国日は含まれていませんのでご注意ください。 - 渡航先
- 米国・ワシントンD.C.
- 費用
- 無料
※米国往復航空運賃(上限あり)、ESTA(渡航認証)申請費用、研修期間の保険料、米国国内宿泊費、日当(注)はJPFが負担します。
注)日当はMercy Corpsの規定額に基づき、米国ドルで支給されます。 - 定員
- 日本人10~15名 (外国からの参加者複数名)
※厳正な審査の上、参加者を決定します。 - 言語
- 英語
本件に関するジャパン・プラットフォーム(JPF)についてのお問い合わせ先
特定非営利活動法人(認定NPO法人)ジャパン・プラットフォーム
NGO能力強化研修プログラム担当:鈴木、谷口
E-mail:training@japanplatform.org
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-6-5 麹町GN安田ビル 4F
TEL:03-6261-4751(事業部直通) 代表:03-6261-4750 FAX:03-6261-4753