2016年2月29日~3月4日、「INEE教育ミニマム・スタンダード・トレーナー養成研修」を米国・ワシントンD.C.にて開催
イベントレポート
Session11: Conflict Sensitive Education (CSE)
「教育支援は諸刃の剣?CSEを考える」
教育は諸刃の剣となりえます。教育は、紛争の影響を受けた子どもや学習者の能力を強化し、国家や社会再建の基礎となり、希望を与えることができます。しかし、誤解と偏見に基づいた教育は、紛争を悪化させ、社会を壊し、すでに紛争によって傷ついた人々をさらに分断する可能性があります。特に紛争下において教育支援を行う場合は、こうした事に細心の注意を払う必要があります。
コンフリクト・センシティブ教育(Conflict Sensitive Education:以下、CSE)は紛争状況において支援する際の基本的な原則となります。紛争状況下での活動経験が少ない研修参加者にとって、この大切な原則について深く考えることができた良い機会となりました。参加者は、異なる国や状況から集まった面々なので多様性に富み、グループワークなどを通じて、それぞれの貴重な経験を共有する事ができました。
また、このセッションは、すでに紛争状況下で働いた経験のある参加者にとっても、明確なCSEのコンセプトを体系的に学ぶ事により、自らの業務を振り返る良い機会となりました。CSEには3つのステップがあります。まずは、教育支援を実施しようとしている現地の状況をよく理解すること。次に、教育と状況が双方向に与える影響を分析します。そして、教育支援の負のインパクトを最小化し、正のインパクトを最大化するように、実践しなければなりません。
INEEの研修を通じ、総じて学んだことは、緊急期における教育の価値と重要性です。しかし、CSEのセッションにおいて、教育支援が必ずしも良い結果を生むわけではなく、負のインパクトを与える可能性があるという警鐘が鳴らされたことは、人道支援者としてしっかり心に留めておきたいと思います。実践にあたっては、現場の状況と教育の関係性をきちんと把握した上で、細心の注意を払わなければならないという事を、改めて気づかされました。
五十嵐 豪
(特活)難民を助ける会(AAR Japan)
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イベント概要
ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」(※)の一環として、「INEE教育ミニマム・スタンダード・トレーナー養成研修」を、来年2月29日~3月4日の日程で米国・ワシントンD.C.にて開催します(共催:米国NGO団体Mercy Corps)。
これは、昨今の世界情勢や緊急人道支援の性質と傾向、また以前よりJPF加盟NGOから寄せられていたトレーニング開催への高い要望を鑑み、JPFが教育分野における国際的なミニマム・スタンダード(INEE)についての学習機会の提供を模索してきた結果によるものです。
本研修参加者は研修終了後、トレーナーとして年度内に日本にて約2日間の研修を実施していただくことになります。よって、緊急教育支援に従事した経験を持ち、かつ日本での普及活動に意欲的な方を対象に開催すべく、研修内容や参加者の応募資格、条件等については鋭意調整中です。詳細決定次第、随時ご案内いたしますが、ご関心のある方は直接下記窓口までお問い合わせください。
INEE教育ミニマム・スタンダードとは:
緊急教育支援の情報ネットワーク(Inter-Agency Network for Education in Emergency : INEE)が策定した緊急時の教育におけるミニマム・スタンダードです。INEEの運営には、UNHCE、UNICEF、UNESCO、USAID、World Vision Internationalなどが入っており、国際的に認知されている基準です。本スタンダードは、ハリケーン・台風・地震・洪水などの「自然災害」と紛争や内戦によって引き起こされた「複合的な緊急情勢」に緊急的に対応するために設計されており、現在170ヶ国で使用されています。
参考:
INEE
http://www.ineesite.org/en/
INEEミニマムスタンダード
http://toolkit.ineesite.org/toolkit/INEEcms/uploads/1012/INEE%20MS%20Japanese_2010.pdf
内閣府HP:緊急時の教育のための最低基準とは
http://www.pko.go.jp/pko_j/organization/researcher/atpkonow/article033.html
※「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」について:
「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」とは、米日カウンシル(US-Japan Council)主導のTOMODACHI イニシアチブ、ならびにJ.P.モルガンの支援を受け、JPFが米国のNGO団体マーシー・コー(Mercy Corps)とのパートナーシップのもとに実施している研修事業です。東日本大震災におけるNGOの支援活動から得られた貴重な経験や教訓を活かし、日本のNPO/NGOが国内外でより効果的な人道支援活動を行うための能力強化を目的としており、2013年4月~2016年3月までの3年間で、人道支援に関するさまざまな研修を計画、実施しています。
研修概要
- 期間
- 2016年2月29日(月)~3月4日(金)
※この日程には、出発・帰国日は含まれていませんのでご注意ください。 - 渡航先
- 米国・ワシントンD.C.
- 費用
- 無料
※米国往復航空運賃(上限あり)、ESTA(渡航認証)申請費用、研修期間の保険料、米国国内宿泊費、日当(注)はJPFが負担します。
注)日当はMercy Corpsの規定額に基づき、米国ドルで支給されます。 - 定員
- 日本人10~15名 (外国からの参加者複数名)
※厳正な審査の上、参加者を決定します。 - 言語
- 英語
本件に関するジャパン・プラットフォーム(JPF)についてのお問い合わせ先
特定非営利活動法人(認定NPO法人)ジャパン・プラットフォーム
NGO能力強化研修プログラム担当:鈴木、谷口
E-mail:training@japanplatform.org
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-6-5 麹町GN安田ビル 4F
TEL:03-6261-4751(事業部直通) 代表:03-6261-4750 FAX:03-6261-4753