ユニクロ、ジャパン・プラットフォームを通じて、 能登半島の地震・豪雨で被災された方々にヒートテックを寄贈
JPFとKVOADは2017年12月25日、"つなぐ"活動をけん引する団体による中間報告会を開催しました。4団体は、KVOADとJPF事務局に加え、県域熊本合同会議に参加して"つなぐ"団体の審査・推薦にも携わった行政職員、さらには取材メディアに対して、近況活動や今後の課題を報告しました。
日時 | 2017年12月25日(月)13:30~15:30 |
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場所 | 熊本県総合福祉センター1F(KVOAD事務局会議スペース) |
内容 |
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活動報告を行う団体と各団体のテーマ |
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報告会の参加者 | 熊本市役所市民局 市民生活部 地域活動推進課 地域活動班、熊本市市民活動支援センター あいぽーと、JVOAD(全国災害ボランティア支援団体 ネットワーク)、KVOAD、JPF事務局 |
もともと地域活性化と農業保全を目的に活動していた九州バイオマスフォーラムは、熊本地震を機に災害支援活動に専念しています。事務局長の中坊真さんは、複数の支援活動を報告してくださいましたが、その一つが農業ボランティアの方とのエピソードです。ボランティアの方には、単純に野菜を仕分けるという作業をしていただくのではなく、出荷できない規格外の農産品を持って帰っていただき、「こんなものが捨てられるんだ」と学んでもらう機会となるようめざしたそうです。また、被災者が孤立しないように心のケアを大事にしてきたといった心がけも話してくださいました。さらに語り部の育成もめざしており、すでに勉強会を何回か開催しているという取り組みも共有されました。
一方で、熊本地震では大きな橋が崩れたり、道に2メートルもの段差ができたりしましたが、九州バイオマスフォーラムは、こうした被害を観光に生かせないかと当初から考えていたそうです。阿蘇は観光地で、震災により観光客が来なくなってしまうことが被害の拡大をまねくと考えたからです。森林保全が災害防止になるため、森林の整備をする予定だそうです。また、阿蘇では「隣組」という考えが残っており、そのつながりが被害を抑えることができたと思うと話し、今後起こりうる災害に備えるためには横のつながりを維持することが必要で、「その横の櫛をとおすことがNPOの役割で、それが防災・減災につながると考えている」と中坊さんは力強く語りました。
Project九州は、15団体近くを取りまとめている団体で、月に1回、御船町で会合を開いています。また、仮設住宅にある『みんなの家』(集会所)ではイベントも頻繁に開催し、住民がまとまる支援を大事にしてきたと報告されました。報告者の吉村仁さんは支援の課題について、「支援のことを住民がほとんど知らない状況。今後は支援のことをもっともっと地域の方に知ってほしいと考えている」と述べました。具体的には、住民参加型のプログラムを検討していくと計画を共有してくれました。炊き出しをして「食べてください」ではなく、「住民と一緒に作って一緒に食べる」という具合です。また、住民の方々は「これがほしい」というニーズを口にすることを遠慮する傾向があるので、きちんと聞き取れる体制も作りたいと話しました。これに対して、他の地域で支援する人からは、住民の方が自立の一歩を踏み出せるような支援の在り方を検討することが大切といったアドバイスが出るなど、活発な意見交換が繰り広げられました。
大津町は役場も被害を受けた町ですが、なかなか知られていません。そんな大津町で、まちづくりをめざして活動する団体であるカセスル熊本が、復興の先にあるまちづくりを視野に置いた支援を実施しています。特長は、団体のメンバーが若年層で構成されていること。そのため、フラットに話せることが強みだそうです。
カセスル熊本のこれまでの活動は、コミュニティ活性化をめざして仮設住宅でちょいのみ居酒屋をやったり、食育を絡めて復興カフェを開いてだご汁作ってふるまったり。こうした活動を通して、お客さんから要望や情報は入ってくるそうです。一方で、それらをなかなか形にすることができない状況であり、仮設住宅に暮らす方をもっと巻き込みながら活動をしていきたいという方向性が共有されました。
仮設住宅におけるコミュニティ形成をめざして、益城町にある18団体中14団体が月1回会議を開催しています。これまでに、夏祭り、運動会、秋祭り、自治会の視察研修(新潟)などのイベントを、すべて住民のニーズに基づいて実施してきました。例えば運動会では、子どもたちに「運動会したい?」と聞いて子どもたちから声を拾い上げ、自治会に提案して実施に至りました。こうしたイベントを行うことで、住民たちの距離が近くなり、イベントのたびに「あら、久しぶりね」と声を掛け合うなど、「明らかに変わっていっています。顔の見える関係ができてきていると実感しています」と吉村静代さんは報告しました。また、被災経験の先人が多数いる中越を視察した結果、熊本にも語り部が必要だという結論になり、神戸から人を呼んで語り部研修会の実施もしました。
こうした中での課題は、なかなか復興が目に見えずに不安がっている住民を行政とつなげることだそうです。自立できる人、復興住宅が完成するまで仮設住宅にいないといけない人など、個人がおかれた状況が異なってくる中で、どうコミュニケーションをとっていくかが重要となります。吉村さんは「仮設が集約されても、コミュニティはしっかり保っていただきたい。抽選ではなく、5人でも6人でも仲良しの仲間がいれば、一緒に移れるようにと伝えていきたい」と話しました。また復興支援に携わる人材育成についても力を入れたいと抱負を語りました。
他にも熊本市役所からも参加し、「NPOの力が行政の中でもまだまだ知られていない。伝えていきたい」とNPOや支援団体に期待する声が聞かれました。
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