「能登豪雨1ヵ月:現地からの報告」アーカイブ配信中
2019年末時点で、世界で移動を強いられている⼈は地球上の97⼈に1⼈※1。故郷を追われる⼈の数が年々増加しています。
2020年9月末、日本UNHCR・NGO評議会(J-FUN)主催、ジャパン・プラットフォーム(JPF)/なんみんフォーラム(FRJ)/国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)協力の、『グローバル難⺠フォーラム(GRF)マルチステークホルダー・コンサルテーション(MSC)フォローアップのための勉強会』がオンラインで開催されました。
本勉強会は、2019年12⽉に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とスイス政府の共催で、ジュネーブで開催された「第1回グローバル難⺠フォーラム(GRF)※2」に先⽴ち、2019年11⽉に開催された「マルチステークホルダー・コンサルテーション(MSC)」の枠組みを通じて⾏われる⾮公式の会合。
第1回である今回のテーマは、「GRFのフォローアップとCOVID-19の現場への影響」。新型コロナウイルスが提起した新たな課題を中⼼に、政府機関・市民社会・ユースグループ・民間セクター・教育機関・メディア・さらには難民当事者等、多様な現場で活躍するアクターによる情報共有の場づくりを目的に開催されました。
オンラインで開催された「MSC第1回勉強会」 ©UNHCR
2019年12⽉に開催されたGRFでは、多様なステークホルダーによる協⼒の重要性が打ち出され、日本政府そして日本の市民社会の代表よりプレッジが提出されました。
勉強会のはじめにはまず、政府と教育セクターから、それぞれがGRFで行ったプレッジのその後の進捗が紹介されました。さらに、2020年7月にジュネーブで行われたGRFオンラインフォローアップ会合の内容も紹介され、新型コロナウイルスがプレッジ内容の実現へ影響を与えていること、今後政府のみでなく、より広い民間セクターの巻き込みが大切になるという認識が共有されたという報告がありました。
その後、国内外の難民に関わる現場の方々から、新型コロナウイルスの支援への影響や難民の方々の困窮している状況、支援における様々な工夫や教訓について発表がありました。
海外の難民キャンプでの支援に関わる団体からは、キャンプへの入域制限などにより活動へ影響が出ている状況が紹介されました。教訓として、刻々と変化する状況に合わせた事業実施体制の柔軟な変更の重要性や、職員による感染症予防のさらなる徹底、受益者に対する感染症の情報提供などがあげられました。
さらに、国内の移民・難民支援のネットワーク組織からは、コロナ禍で、日本の国内にいる移民や難民の方々の直面している状況について共有がありました。
もともと就労許可や仕事がないという脆弱な状態へのさらなる打撃、10万円の現金給付などの国の支援策の対象外となる問題、さらには、支援者自体の困窮により支援が途絶えてしまう状況などを話しました。
また、第三国定住難民の生活・就労支援に関わる民間セクターとNGOの方々より、広島県呉市の第8陣家族定住ケースを紹介。収入面にマイナスはなかったものの、日本語教室が開かれなくなり、日本語の会話能力の向上機会の減少、またそれだけでなく地域・社会との繋がりの場がなくなってしまった状況がありました。そこでオンラインでの日本語学習支援などが実施され、難民の方々が孤立化しないようサポートが行われました。現在は教室は再開していますが、感染症の状況によっては今後も支援の形を変化させて対応していくという方針を話しました。
最後には、グループで意見交換を実施。「新型コロナウイルスの活動への影響」及び「今後勉強会で取り上げたいテーマ」について参加者が意見を交わしました。
活動への影響については、直接に現地へ行っての活動の制約、オンライン支援においても、ネットにアクセスがない方々への支援の難しさなど、また、講演会や報告会など難民問題の情報を発信する機会の減少などがあげられました。
今後のテーマとしては、このような多様なステークホルダー間の議論を実践につなげていく方法についてや、新型コロナウイルスによる社会的な変化が、難民の子どもたちや女性へ与える長期的・短期的な影響について知りたいという声も上がりました。
世界中が新型コロナウイルスという新たな課題に直面しているいま、もともと脆弱な状況に置かれている難民の方々はさらに困難な状況に置かれており、セクターを超えた連携がより必要とされてきています。
こちらのフォローアップ勉強会は、隔月で開催される予定です。今後も、高等教育や就労プログラムが難民の保護・支援に果たす役割など、様々なテーマのもと、多様なステークホルダーが対話を深める場としていきます。
※1:UNHCR,GlobalTrends2019(18June2020)
※2:グローバル難⺠フォーラム(GRF):2018年12⽉に締結された「難⺠に関するグローバル・コンパクト(GCR)」を推進するための閣僚級会合。GCRでは難⺠の直⾯する課題に対して、従来の⽀援⽅法にとどまらない社会全体での協⼒の必要性を訴えている。
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