ユニクロ、ジャパン・プラットフォームを通じて、 能登半島の地震・豪雨で被災された方々にヒートテックを寄贈
2024.10更新
2022年7月12日付プレスリリース「ウクライナ情勢悪化よる世界の食料危機に対応し、日本政府より約10億円の拠出を受けジャパン・プラットフォーム(JPF)は中東・アフリカ諸国に緊急食料支援を実施へ ~日本の民間支援組織を代表し、日本のNGOの力を結集~」でお伝えした通り、本プロブラムの背景は以下の通りです。
2023年は、59の国と地域で、前年比2,400万人増の約2億8,200万人が深刻な飢餓状態に陥りました※。紛争、治安や経済状況の悪化、異常気象の影響は、世界規模で深刻な食料不安を引き起こしています。ガザやスーダンにおける紛争悪化、ウクライナ危機に起因する食料・燃料・飼料価格の高騰は、既存のぜい弱層にさらなる追い打ちをかけました。
JPFは、各加盟NGOの支援実績やネットワークを活かし、2022年に本プログラムを立ち上げ、これまでに中東・アフリカ諸国11カ国で緊急支援を横断的に展開。現金給付を含む食料配布をはじめ、生計回復のための農業に関する研修、水、教育、医療などの基礎サービスの復旧、母子の栄養改善支援などにより、生命の維持と自ら立ち上がる力を強化することに尽力しています。
※ WFP, 2024 Global Report on Food Crisis (GRFC). 24.Apr.2024
プログラム名 | 中東・アフリカ食料危機支援 |
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支援期間 |
2022年10月1日~2024年4月30日(7か月間の延長) |
活動予定地 | 中東・アフリカ諸国11カ国(アフガニスタン、南スーダン、スーダン、エチオピア、ウガンダ、モザンビーク、ソマリア、マダガスカル、ケニア、シリア、イエメン) |
活動予算 |
(政府資金)16億2000万 |
活動予定団体 | JPF加盟NGO 12団体 |
2024年7月更新
木の枝や布などで簡易的に作られたテント ©ACCEPT
ソマリア中部では、数年にわたる干ばつやテロ組織アル・シャバーブとの紛争が激化し、飢饉のリスクが迫っています。深刻な状況にも関わらず、危険性の高さから十分な支援が届かず、特にアル・シャバーブ支配地域から逃れて来た国内避難民の人々はとても苦しい状況に置かれます。ACCEPTは、幼い子どもや妊産婦・授乳中の女性を抱え、命からがら逃れて来た国内避難民世帯に、米・油・デーツなど命をつなぐ食料品を届けました。
マディナ・モハメド・イブラヒムさん(34歳)
国内避難民キャンプで食料品を受け取る女性、子どもたち ©ACCEPT
テロ組織の支配地域から命からがら逃れてきました
私たちはテロ組織アル・シャバーブの支配地域から逃れてきました。干ばつが続く中で彼らは食料輸送トラックを燃やしたり政府軍との戦いを激化させ、私たちの村はひどい生活難状態でした。所持していた家畜もみんな死んでしまい、お金がないため子ども9人の食料を買うこともできませんでした。この先の見通しを立てるのは難しいですが、絶望的な状況の中で日本の皆さまからの支援にとても感謝しています。(ACCEPT事業より)
長年にわたる内紛や気候変動、新型コロナウイルス感染症の拡大により中東・アフリカ地域における食料不足は深刻な状況が続いていましたが、2022年2月以降、ウクライナ情勢の悪化に伴って著しい穀物価格の高騰が生じたことにより、食料危機の状況はさらに深刻化しています。
国連世界食糧計画(WFP)の報告によると、ウクライナ情勢悪化の影響により、深刻な食料危機に直面している人々の数は、2022年の2億7,600万人から過去最高となる3億4,500万人へと急増することが見込まれています。[※1]
特に、農業大国であるウクライナとロシアに穀物の輸入を依存している中東・アフリカ地域は、その影響を著しく受けており、なかでも東アフリカ地域においては5,000万人以上が急性食料不安(総合的食料安全保障レベル分類(IPC)フェーズ3以上)の状態に陥っています。[※2]
[※1]WFPニュースリリース「グローバルな食料危機対応のための、日本政府による約1億ドルの支援を歓迎」
[※2]OCHA, "In Eastern
Africa, over 50 million to face acute food insecurity in 2022"
桑名 恵 氏
(近畿大学国際学部 准教授)
私は大学院時代、エチオピアからの独立直後のエリトリア訪問を機に、1980年代のアフリカの飢饉について調査し、現地の社会要因を考慮した中長期の人道支援の必要性を知りました。それ以降も、同地域で食糧危機は何度も繰り返されています。グローバル化が進む現在、食糧危機は、紛争、気候変動、新型コロナウイルスなど、さまざまな要因と複雑に絡み合っています。
特に、中東・アフリカ地域はその脆弱性が現れやすく、ウクライナ紛争の影響が高まっている今、被害は甚大です。食糧危機の深刻化と再発を防ぐには、現地社会を重視しながら、予防、早期行動を強化すること、気候変動、平和、開発などのさまざまな課題対応と連動させる必要があります。
JPFの支援は、加盟団体がこれまで活動してきた地域での多様な分野での経験、現地組織や現地コミュニティとの密接なつながりを活用できることに強みがあります。短期的な支援のみならず、予防や中長期の視点を考慮した人道支援を実現するには、企業や市民社会の皆さまのご支援が何よりも重要です。
忍足 謙朗 氏
(元 国連WFPアジア地域局長)
ロシア・ウクライナ戦争は世界中で食糧価格高騰を引き起こしていますが、中東・アフリカの支援対象国には自国での長引く紛争や自然災害によってすでに十分な食生活ができていない人々が数多くいます。主食の小麦などの価格高騰の追い討ちは家庭をさらなる貧困に追い込むだけではなく、一国の政情を不安定にさせる要素にもなります。
私は国連世界食糧計画(WFP)で長年にわたって緊急食糧支援に携わってきました。その中で常に感じてきたことは「食べる」という基本的なことが満足にできないと、他のことも満足にできないということです。特に子どもの栄養不良は、彼らの成長や学習能力を妨げ、貧困の連鎖を生み出す大きな課題となってしまいます。
今回、日本政府がJPFを通して日本の国際NGOへの食糧支援サポートを決断したことをうれしく思うと同時に、NGOならではのキメの細かい支援を期待しています。個人的意見となりますが、限られた資金をインパクトのあるものにするためには、家庭の食費を単に補助するのではなく、脆弱な母親や子どもの栄養を考えたより健康的な「未来を届ける」支援をしてほしいと願っています。
JPF加盟NGOは、これまでも中東・アフリカ地域でさまざまな課題・困難と向き合いながら食料支援を実施し、現地の方々の命を守り続けてました。しかし、今回の危機はあまりにも大きく、多くの資金が必要です。どうか皆さまのさらなるご支援をお願いいたします。
外来センターにて栄養診断を待つ親子と栄養不良について説明をする事業スタッフ ©Word Vision
長引く紛争の影響下、2017年2月に飢饉宣言が出るほどの深刻な食糧危機により、事業地ワラップ州では急性栄養不良に陥る子ども・妊産婦が急増していました。栄養ボランティアが行う上腕周囲計測帯測定による栄養スクリーニングにて、栄養不良と確認された5歳未満児・妊産婦を対象に栄養支援を行いました。
2.7万人の中度栄養不良児・1.4万人の妊産婦に栄養補助食プログラムの提供をサポートし、7.2千人の重度栄養不良児に栄養治療食を提供し、うち5.1千人が事業期間内に回復できました。合併症を伴うケースは、医療施設で入院治療を提供し回復をサポートしました。現場では医療設備が脆弱なため、医療施設での治療体制の整備に時間が必須となり、当面は遠くの病院へ搬送して、命を守る対応を行いました。
離乳食の提供 ©World Vision
エチオピアのアファール州では5歳未満の子どもや妊産婦の3人のうち1人が紛争の影響による食糧不足のため栄養不良の状態でした(2021年10月時点)。
本事業では、上腕周囲計測帯を使用した栄養スクリーニングを実施し、栄養不良と診断された子どもおよび妊産婦に対する栄養治療食や高エネルギービスケットの配布を行いました。また、妊産婦および乳幼児の栄養プログラムを通して、乳幼児に対する離乳食の提供を行いました。
事業期間中に治安の悪化により活動を一時中断せざるを得ない事態が発生しましたが、エチオピア政府や国連機関、他支援団体と連携のもと、最新の治安情報を収集し、セキュリティ訓練を受けた事業スタッフが安全を確保したうえで事業を再開しました。その結果、約3万人の子どもや妊産婦に無事に支援を届けることができました。
食糧を受け取る女性裨益(ひえき)者 ©CWSA
CWS Japanは現地パートナー団体と共に、
アフガニスタンの人々が厳しい冬を越すための食糧支援を実施しました。
アフガニスタンでは、政変、コロナ禍、厳冬といった苦境のために支援を必要とする人々の数が膨大な中、最も脆弱な人々に支援を確実に届けるという課題があり、地元団体との協働で対応しました。また、女性の行動の自由が制限されている状況で女性の巻き込みが必須でしたが、夫婦を現地スタッフとして採用して、女性の安全を守りながら意思決定・活動への参画を確保しました。このように、様々な形で支援地域のコミュニティや関係者が知見を活かし連携したことで、最も脆弱な人々に支援を差し伸べられました。
こうした成果に対して、現地の人々から支援団体としての信頼を得られたことで、これから食糧支援事業を円滑に実施できる素地ができました。
配布した小麦粉と塩を受け取った避難民 ©GNJP
繰り返される紛争や干ばつにより、エチオピアでは2,000万人以上が食糧支援を必要とし、ティグライ州では13%の子どもと50%の妊娠中・授乳中の女性が栄養失調とされています。2022年8月末には北部紛争が再開したことや、10月頃より乾季に突入するため、人道危機はさらに悪化していく見込みです。
GNJPは、ティグライ州・アムハラ州の避難所にて、3,685世帯(約18,425人)に対し小麦粉、食用油、塩、豆などの食糧を配布し、栄養に関して極めて脆弱である5歳以下の子ども・妊産婦及び授乳中の女性1,750人に対し栄養補助食品を提供しています。紛争による農作物の収量減少やウクライナ紛争の影響による物価上昇のため食糧の調達は困難を極めており、他の支援機関・国連機関・NGOから成るフードクラスターや行政との連携により、これらの課題を乗り越えながら活動しています。
第1回目の現金給付の様子(2022年5月16日、マザーリシャリーフ市内の銀行にて) ©Save the Children
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2022年2月1日から8月31日まで、アフガニスタン・バルフ州で食糧支援と衛生・栄養支援事業を実施しました。同国では紛争や干ばつ、COVID-19などの影響により食糧危機が深刻化しています。特にバルフ州は人口の半分以上が人道支援を必要としており、深刻な飢餓状態の割合が最も高い州の一つです。
こうした課題に対し、本事業では国内避難民、帰還民、ホスト・コミュニティ600世帯を対象に、4回の現金給付を通した食糧支援を行いました。また、コミュニティに根差したボランティアの地域保健ワーカーを対象に栄養ケアに関する能力強化を行い、地域保健ワーカーが地域での啓発活動や栄養不良の子どもの特定などを実施しました。地域の対処能力を強化し、住民が主体性を持って状況の改善に取り組む体制の構築を行いました。
寄付の受付は終了しました。
ありがとうございました。
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