震災から14年。福島からの今の声とこれまでのJPF支援

活動レポート

ジャパン・プラットフォーム(JPF)

震災から14年。福島からの今の声とこれまでのJPF支援

東日本大震災被災者支援(福島支援)

14年間継続してきたJPF「東日本大震災被災者支援」では、被災地の人々の生の声や現状を理解していただく企画イベントや発信にも尽力してきた JPF主催 「国際NGOと福島の談話タイム - 忘れない、福島こころのケア続けるプロジェクト-」/2016.04.13 ©JPF

東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故からこの3月で丸14年を迎えます。今も、2万5,000人近い人々が福島県内外に避難している状況が続いています※1
ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、2011年発災当日から、これまで14年間にわたり支援を継続してまいりました。
企業や団体、個人の皆様から総額73億5,521万8,963円(2024年12月末寄付受付終了時)ものあたたかいご寄付をお寄せいただきましたことに、改めて心より御礼申し上げます。



地元を拠点とする福島の地域ファンドと協働
ふくしま「ともつく」基金


JPFは、「東日本大震災被災者支援(福島支援)」において、 2023年、地元を拠点とする地域ファンドと協働して、ふくしま「ともつく」基金を開始しました。

この基金は、JPFが支援の中で大切にしてきた、多様性のあるつながりづくりや地元主体であることなどを、「東日本大震災被災者支援(福島)」の集大成として、地元に残していくものになります。原発事故による避難指示により、一時は住民がまったくいなくなった浜通りで活動する団体の支援を行い、特に民間からの支援が必要な子育て、障がい者、文化保全や交流人口の増加に関する分野における支援を実施しています。

ふくしま「ともつく」基金のJPF助成団体より

イベント「地域でつなぐ子育ての未来」を開催(鈴木さんは向かって前列右から4番目) ©cotohana 福島の浜通り双葉郡における子育て環境を考え、応援する活動を支援 ©cotohana


cotohana 代表 鈴木 みなみさん

福島県浜通り(主に双葉郡8町村)には、避難先からの帰還や移住により、現在約600世帯※2の子育て家庭が暮らしていますが、子育ての環境は整っていません。

cotohanaでは、双葉郡に暮らす子育て世代のメンバーが肌感覚として課題を抱いていましたが、具体的な政策提言などを行うためには、実態を伝えるエビデンスデータが弱い状況にありました。そんな中、JPF助成によるふくしま「ともつく」基金により、不安を抱える家庭への支援を官民共同で行うための調査を行うことができました。助成のおかげで、調査の専門家を巻き込み、点在する子育て家庭への多様な調査が実施でき、子育ての方法や買い物など日常生活における困難さが数字として表れてきました。

また、調査結果があることで、これまで進まなかった県や市町村など行政機関との具体的な議論が可能になり、メンバーが行政の実施する子育てやまちづくり関連の委員会メンバーに選定されるなど、前向きな活動環境が整ってきました。この地域における将来の子育て世代のためにも、今後も現状把握の調査を継続しながら、子育てしやすいまちづくりを進めていきたいです。


人々の居場所にもなっているコーヒータイム(向かって右側が橋本さん)/2025.03 ©JPF


コーヒータイム 代表 橋本 由利子さん

避難指示により人口が少なくなった浜通りでは、多くの施設の再開が難しい状態にあります。
障がいを持つ被災者は、住み慣れた地域に家族と共に戻られる方々もおられますが、以前のような環境にはありません。

コーヒータイムは、主に精神障がい者の就労支援を提供しています。今の福島の精神障がいを持つ方々の環境に触れていただくため、JPF助成によるふくしま「ともつく」基金により、全国の方々を対象とした集いを開催し、70名を超える方々に参加いただく機会を作りました。資料館訪問やコーヒータイムからの説明で、被災から時間が経過した街並みからはわかりにくい、現在の福祉資源の少ない状況を感じ取られた方もいらっしゃいました。
 
浪江をはじめ、いまだに町域の多くの場所が帰還困難地域である双葉や大熊の避難されている人々の中には、時間の経過とともに強くなる元の地域への帰還の希望と、今の生活の維持の間で苦悩の日々が続いている方も少なくありません。現在の浜通り、コーヒータイムが所在する浪江では復旧や復興などの大規模なプロジェクトが行われ、復興の槌音がいたるところで響いていますが、ようやくの思いで浪江に帰ってこられた方の中には、町の変化と時間の経過により、町での自分の居場所がなく戸惑っている方もおられ、そんな方々の居場所として施設としてもコーヒータイムが機能しています。

発災当日に「東日本大震災被災者支援」を開始
地元NGOに寄り添い、地域主体の復興へ

JPFは、2011年3月11日の震災発生から3時間以内に出動を決定し、「東日本大震災被災者支援」を開始しました。すぐに仙台に事務所を設立し、岩手、宮城、福島の各県に常駐スタッフを配置し、被災された方々や地元のNPO、支援団体、自治体と情報共有、連携しながら、支援活動を展開してきました。

同年5月には、加盟NGOだけでなく地元のNPOなどにも助成対象を広げた「共に生きる」ファンドを設立。地域のニーズより4つの支援領域(コミュニティ支援、セーフティネット支援、生業支援、コーディネーション・サポート)を軸に、地元主体の復興を支援しました。このファンドは、企業や団体、個人からのご寄付を受け、84のJPF加盟NGO事業と403の「共に生きる」ファンド事業を実施し、完了。一貫して、被災県の中間支援組織、地元NGOに伴奏し、復興の体制整備に貢献してきました。

2017年8月より2019年度まで、復興庁より「被災者支援コーディネート事業」も受託しました。
海外における緊急人道支援の経験から、円滑な支援には、支援に関わるアクター同士が連携、情報共有できるよう、調整するコーディネーション機能が重要と認識していたJPFは、行政、社会福祉協議会(社協)、企業、NPO・NGO等のセクターを超えた連携を促進してきました。

▼詳細の支援内容はこちら
「東日本大震災被災者支援」
JPF加盟NGO 助成事業
「共に生きる」ファンド

不足していた生鮮食品を届ける/2011.03 ©AAR Japan, Yoshifumi KAWABATA 宮城県南三陸町での炊き出しの様子/2011.03 ©JAFS

 

福島支援を強化、継続
「福島に残された3つの課題」解決を目指す

2015年11月、JPFは福島の復興の長期化を見越して「福島支援強化」方針を発表し、震災から10年目の2021年1月には、これまでの活動の検証結果をふまえて、「福島に残された3つの課題」(①福島県内外の被災者・避難者への支援、②被ばくリスクの軽減、③地元主体で復興を担う体制の構築)に対応する新しい戦略をもって、支援の継続を決定しました。

長期化する課題を抱える福島において、馬との交流を通じたコミュニティ再生支援、被ばくリスクから健康を守るための放射線量の測定、地域防災の強化を目指す勉強会など、地元主導の体制を支え、「福島に残された3つの課題」の解決に向けた支援に取り組んできました。冒頭のふくしま「ともつく」基金のほか、今後の災害対応のため、原子力発電所事故後の被災地支援の知見をまとめたガイドブックの作成も行いました。

また、支援してくださる皆さまへの報告はもちろん、被災地の人々の生の声や現状を理解していただくことを大切な使命と考え、多くの企画イベントや発信を継続することにも尽力してきました。

▼詳細の支援内容はこちら
「東日本大震災被災者支援(福島支援)」
・主なイベント企画
 2019.02.14. 「あれから8年、福島のいまとこれから ~国内避難の教訓を世界へ~」(第7回JPFメディア懇談会)
 2018.02.13. 「福島7年目の現場から ~心のケアをつなぐ3つの提案」(第6回メディア懇談会/JPF復興庁コーディネート事業報告) 
 2015.11.16. 「福島緊急アピール -今起きていること・できること-」

「福島に残された3つの課題」①福島県内外の被災者・避難者への支援:湧き水を中心に世代間交流、関係人口増加も狙う/福島県川俣町小綱木/2024.11.17 ©AAR 「福島に残された3つの課題」①福島県内外の被災者・避難者への支援:相馬市、新地町と共催で防災シンポジウムを開催した/相馬市音屋ホール/2024.11.24 ©AAR
「福島に残された3つの課題」①福島県内外の被災者・避難者への支援:相馬市、新地町と共催で防災シンポジウムを開催した/相馬市音屋ホール/2024.11.24 ©AAR 「福島に残された3つの課題」①福島県内外の被災者・避難者への支援:湧き水を中心に世代間交流、関係人口増加も狙う/福島県川俣町小綱木/2024.11.17 ©AAR
「福島に残された3つの課題」②被ばくリスクの軽減:海洋調査の実施 定点での海水採取の様子/福島第一原発沖1.5km/2024.11.20 ©たらちね 「福島に残された3つの課題」②被ばくリスクの軽減:測定のための試料作成の様子/たらちね測定ラボ/2024.11.0 ©たらちね
「福島に残された3つの課題」②被ばくリスクの軽減:海洋調査の実施 定点での海水採取の様子/福島第一原発沖1.5km/2024.11.20 ©たらちね 「福島に残された3つの課題」②被ばくリスクの軽減:測定のための試料作成の様子/たらちね測定ラボ/2024.11.05 ©たらちね
「福島に残された3つの課題」③地元主体で復興を担う体制の構築:相双地域の生活に根差す馬事文化を大切にしたポニーとのふれあい体験/福島県相馬市/2024.12 ©ピースウィンズ・ジャパン 「福島に残された3つの課題」③地元主体で復興を担う体制の構築:相双地域の生活に根差す馬事文化を大切にしたポニーとのふれあい体験/福島県南相馬市/2024.04 ©ピースウィンズ・ジャパン
「福島に残された3つの課題」③地元主体で復興を担う体制の構築:相双地域の生活に根差す馬事文化を大切にしたポニーとのふれあい体験/福島県相馬市/2024.12 ©ピースウィンズ・ジャパン 「福島に残された3つの課題」③地元主体で復興を担う体制の構築:相双地域の生活に根差す馬事文化を大切にしたポニーとのふれあい体験/福島県南相馬市/2024.04 ©ピースウィンズ・ジャパン



14年間の支援を継続
JPFの活動を支え、共に支援してくださった皆様に感謝

JPFは、2024年12月末をもって寄付の受付を終了しました。
これまでに総額73億5,521万8,963円( 12月末寄付終了時)のご寄付をいただき、長きにわたり多くの皆さまから温かいご支援を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。「東日本大震災被災者支援(福島支援)」は終了しますが、福島の方々が引き続き復旧・復興活動が続けられるよう、後方支援を行ってまいります。

なお、これまでの活動報告と、今後起こりうる国内災害に対する活動について、ご報告会を開催予定です。詳細は決定次第お知らせいたします。


※1 現在の避難者数(令和7年3月5日時点)
24,644人 (うち県外避難者19,673人 県内避難者4,966 避難先不明者5人)
※2 cotohana, 「双葉郡における子育てに関する調査」, 2024.05.01 

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