JPF パレスチナ・ガザ地区支援 デジタルブック
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JPFの支援活動は、加盟NGOの手によって現地に届けられます。特に境界線が軍事封鎖されているガザ地区では、速やかに支援を届けるのに、NGOとしての専門性が欠かせません。JPFの支援予算がままならぬ時も、地道な支援を独自にガザ地区にて続ける日本のNGOがいるからこそ、これまで発災した際には、既存の足場を活用して、スピーディーで効果的な支援を届けることができたのです。JPF支援を届けてきた8加盟NGOの内、有志団体に、支援活動の紹介とこれからの支援への思いを共有してもらいます。最近ガザでの支援が減少していく中で、引き続き上記の成果や知見を、脆弱性が高く復興から取り残されがちな障がい者、女性、子ども者への支援に生かしていきますガザ地区は長期にわたる封鎖と相次ぐ軍事攻撃により、経済が疲弊し、人道危機がますます悪化していますが、「かつて戦争の惨禍から復興を果たした日本のように、ガザを立て直したい」との強い意志をもつ多くの人々が、地域のために力を尽くしています。ピースウィンズは、これからもガザの人々とともに支援活動を継続して実施してまいります。2021年の空爆で被災した支援対象者のなかには、2014年に支援を行った人たちも含まれていました。2014年の被害から生活を立て直していたところに、再び生活を破壊されたのです。さらに2023年5月の空爆によって、2021年に支援した養蜂農家が養蜂箱を失っています。繰り返される暴力に曝されているガザの人々への支援は引き続き必要とされています。ガザの人口の半数は子どもです。しかし、空爆のたびに子どもが死傷し学校や社会インフラが破壊されています。物理的な損失だけでなく、子どもへの心理的・社会的影響も懸念されています。そして、復興してもすぐに繰り返される空爆は、子どもだけでなく大人の生きる気力をも奪っています。国際社会による空爆や封鎖をなくす働きかけとともに、ガザの人々が安心して暮らせる社会づくりが今後も求められています。1992年に聴覚障がい者支援開始して以来、CCPはガザ地区全土で活動を続けています。2009、2014年、2021年の大規模軍事衝突後のガザ地区にてJPFによる緊急人道支援に出動し、紛争後の人道危機で最も脆弱化しやすい子ども、女性、障がい者などが人道支援から取り残されないように事業を実施してきました。食糧配布、心理社会的サポート、子どもたちの健康診断を実施し、2015年からは身体障がい者へのリハビリや栄養障がいを抱える乳幼児と産前産後女性の支援を継続しています。また、聴覚障がい者の職業訓練や理学療法士の研修など、当事者・支援者双方への能力向上や雇用促進にも取り組んできました。特に大けがを負った子どもや障がい者は身体機能だけでなく、学校に通えるようになる、など普段の生活を取り戻したことが大きな成果であると自負しています。ピースウィンズは、2014年のガザ地区への大規模な空爆の影響を受けた人々への緊急支援を翌年に開始しました。それ以来現在に至るまで、未就学児を対象とした保健・栄養事業、紛争の被害を受けた世帯への食糧配付事業、若者を対象とした職業技術訓練校運営事業、電力不足改善を通じた教育支援事業、食糧へのアクセス向上を目的とした若者へのキャッシュ・フォー・ワーク事業、幼稚園児・保護者・幼稚園教員を対象とした心理社会的支援事業等を実施してまいりました。パルシックは2014年のイスラエル軍による侵攻後、同年9月から2018年2月まで食料や医薬品などの配付、農業インフラの修復、女性を対象とした生計支援、子どもを対象にした社会心理ケアなどを実施しました。また、2021年5月の空爆後、2021年7月から2022年8月まで、空爆被害の最も激しかったガザと北ガザ県、および復旧が遅れていた中部ガザ県において、食料配付、農業インフラの修復、養鶏、養蜂農家の生業再開支援を行いました。食料配付では、地域の農家と協力して新鮮な野菜や肉を入れることができ、裨益者に喜んでもらいました。中部ガザは農業生産地域であり、ガザ地区全体への食料供給の再建に貢献できました。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、主にガザ北部で「子どもの保護・教育支援事業」および「下水管設置事業」を行いました。2015年~16年にかけて行った事業では、心理社会的支援や子どものための心理的応急処置に関する研修実施、学校・教育設備の修復や残留不発弾に関する啓発等を行い、地域のレジリエンスの強化を行いました。2021年に実施した事業では、排水システムが空爆で破壊されたため、3.6キロの下水管と117個のマンホールを新設し、下水および雨水の排水不良による環境・健康上のリスクを低減させることができました。自力で歩けない状態から、適切な歩幅で、バランスを取りながら歩行するためのリハビリの様子 ©CCP Japan幼稚園児を対象とした心理社会的支援セッション ©ピースウィンズ中部ガザ県で灌漑システム復旧後に収穫期を迎えた農地。空爆で職を失っていた人たちを雇用して農地復旧をしてもらいました © PARCIC遊びを通した心理社会的支援の様子©Save the Children4JPF加盟NGOの支援活動

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