JPFの福島支援強化

現状と課題

東日本大震災の被災者のうち、いまだ約12万3000人※1の方々が避難生活を続けていらっしゃいます。その半数以上は、福島県の方々です。

長期にわたる避難生活の全般的な不便が引き起こす体調不良や病死、核家族となったがゆえの孤独死、本来の仕事や生きがいを失った中高年男性の自死など、特に支援の打ち切りや生活再建の決断をしなければならないこのフェーズにおいて、震災関連死も心配です。これまでの震災関連死3,523人のうち、2,000人以上が福島の方々です。

長引く避難生活の一方、昨年より、放射能汚染が確認された市町村の除染作業が進んだ地区から次々と避難指示が解除されています。昨年2016年は、葛尾村(2016年6月)、南相馬市小高区(2016年7月)などで避難指示が解除されました。他の東京電力福島第一原発事故による放射能汚染が深刻だった隣接地域など(富岡町、浪江町、飯館村、川俣町山木屋地区)でも避難指示解除が予定されています。今後、年間20ミリシーベルトを基準に避難指示が解除されていきますが、それに伴う新たな課題も指摘されています。

帰還が可能になった地域でも、実際に戻る方々に若い層は少ないのが現状です。帰還先での生活再建、被災者の心のケア、放射能の影響への不安など問題が山積しています。公共施設や商業・サービスなどのインフラ整備は極めて限られており、コミュニティも機能しにくくなっている中、高齢者はもちろん、女性、子ども、障害者など、災害弱者を支える地域の体制整備は、試行錯誤の状態にあります。

※1: 復興庁、2017年2月28日発表
※2:復興庁、2016年9月現在

長期的かつ複雑に絡み合う福島の課題認識

課題例:

住まいとセーフティネット

これまで避難指示によって避難生活を送ってきた方は、避難指示解除と同時に賠償金が打ち切られ自主的避難者となり、公的支援も打ち切られます。福島県は自主的避難に住宅補助を検討していますが十分とは言えず、地域自治体・社会福祉協議会を中心とした、困窮状態に陥る自主的避難者への包括的な支援策が求められます。

帰還先でのコミュニティ再構築

避難指示解除区域に帰還した人々の、コミュニティ再構築も重要な課題です。帰還者は圧倒的に高齢者が多いと想定されており、移動、地域包括ケア、介護、共助の仕組み作り、生きがい作りが必要です。

心のケア支援の継続と充足

福島では被災者の心のケアに関わる専門家が不足しています。短期で一時的に支援に入る専門家を有効活用し、地元の団体やコミュニティリーダーを巻き込み、心のケア支援のための研修を通じ人材を育成するなど、ネットワークと能力強化を通じた包括的な心のケアの体制づくりを実施していく必要があります。

子どもの健全な育成環境の確保と子どもの権利保護

福島では、警察が介入した児童虐待における児童相談所への通告件数が、2014年の67件から2015年は128件と倍増しています。放射能被害による先行き不透明なストレスが様々な形で子どもに対するDVやネグレクトとなって顕在化しています。また震災後、産業の衰退、工場などの閉鎖、離婚等に伴う家庭環境の悪化から、子どもの貧困や心のケアに関する課題も山積しています。子どもの権利条約にもとづく子どもの包括的な保護体制が早急に求められています。こうした状況を鑑み、福島では子ども食堂を通した支援団体間の連携体制構築も始まっています。

JPFは長期的かつ複雑な多くの課題を抱える福島支援の強化を進めています。私たちは、福島およびその広域避難者を抱える地域において、現地の状況とニーズを分析した5つの重点活動※1を掲げ、少なくとも2018年度末までの支援継続※2を目指しています。

※1:下記「JPF福島支援強化:5つの重点活動」参照
※2:2015年11月13日発行 JPFプレスリリース

JPFは、2011年3月11日、発災から3時間以内に出動を決定し、その後仙台に東北事務所を開設、岩手、宮城、福島3県に地域担当を配置と、迅速に東日本大震災被災者支援をすすめてまいりました。被災地の声と課題を把握しながら、多様なセクターからのリソースを適材適所にマッチングするコーディネーションの役割にも尽力してきました。また、2011年5月より開設した、復興の主体となる地元のNGO/NPOを助成対象とする「共に生きる」ファンドは、被災者の方々のニーズに添うきめ細やかな支援に役立てていただいております。すべての活動は皆様からお寄せいただいたご支援、ご寄付の賜物です。改めて心より感謝申し上げます。

災害発生直後、多くの支援団体が福島に入ることを躊躇した中、JPF加盟NGOのAAR Japan [難民を助ける会]、ADRA Japanは、だからこそと福島に入りました。
あれから丸6年が経ち、多くの支援団体が福島から離れていくなか、JPFは2015年11月に福島支援をさらに強化し、少なくとも2018年末まで「共に生きる」ファンドの継続をすることを決定しました。また国連の専門家とともに、現状とニーズを分析し、5つの重点活動を定めました。人道支援団体として、地元の方々の声を聞きニーズをとらえ、本当に必要な支援は何か、もれはどこにあるのかを把握し、支援していくことが重要だと考えています。

岩手県や宮城県では、仮住まいから恒久的な復興公営住宅などへの移転が進み、災害公営住宅整備完了は2017年度の予定ですが、福島県では遅れが予想されます。長引く避難生活、支援の打ち切り、放射能被害の不安、コミュニティの崩壊、家族間の考え方の違い、小さな子どもを抱えた母親の孤立、子どもの複雑な育成環境、そして震災関連死といわれる人々の増加など、福島は、いまだ複雑な難問を抱え復興の目途が立っていません。

山積する課題は、福島だけの問題ではありません。引き続き、皆様のご理解、ご支援を賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。

地域事業部 部長 阿久津幸彦2017年3月
地域事業部 部長 阿久津幸彦

JPF福島支援強化:5つの重点活動

(「共に生きる」ファンド 2016.8~)

社会的弱者の支援:

障がい者、女性、高齢者などを含む社会的弱者、生活困難者、経済的・精神的困窮者を対象とする活動

地域セーフティネット強化:

避難先および帰還先でのコミュニティ(地域社会)がセーフティネットとして機能するために形成・保持・再生を促す活動

地域文化の存続:

人々が依って立つ土台となる、地域の伝統・文化・生業の存続につながる活動

放射能不安への対応:

放射能汚染からくる不安に向き合い、寄り添う活動

地元主体のネットワーク促進:

支援者と市民社会がお互いの活動を補い合うための場づくりや、ネットワーキングを促進する活動

JPF福島地域担当スタッフコメント(2017年3月更新)

2011年3月に、JPF東北事務所を開設以来、3県において日々地元の方々と密接に連携して支援を進めてきました。

福島県 地域担当 山中 努
福島地域リーダー 山中 努

福島では今、放射能汚染地域の避難指示が年間20mシーベルト基準で次々と解除されています。それに伴い、自主的避難者の住宅支援、指示的避難者に対する処々の賠償補償が打ち切られます。避難指示解除により、名目上“避難者”と呼ばれる方々の数は減ったように見えますが、帰還が可能になった地域でもインフラ整備は限られ、コミュニティも機能しにくくなっており、実際に戻る方々に若い層は少ないのが現状です。複雑な問題が山積し、帰還するか、避難先で生活再建するかの決断を含む被災者の悩み、不安、人々の分断、孤立の問題が混迷を深める中、JPFは引き続き、それぞれの立場に寄り添った支援を継続していきます。

宮城県 地域担当 三浦 隆一
福島地域担当池座 剛

住み慣れない地域で閑散とした環境にそびえ建つ高層型公営住宅にひとり暮らす高齢の女性。公共交通機関も乏しい地域で車もなく充分なお金もなく通院もエアコンの使用も控えて暮らす独居男性。夫とは別居し日々子育てと仕事に追われ心身・経済的にギリギリのところに追い込まれる中で、家賃・住宅の無償提供の打ち切りに直面する避難女性たち。これらは東日本から7年目を迎える今日において、我々が接している福島・東北の「厳しい現実」のほんの一部です。高齢者、女性、子ども、障害者、中高年男性、それぞれが抱える不安、悩み、課題、支援のもれを把握し、今なお確実に存在する「何とかしたい」という想いをつむぎ、希望ある未来を総力戦でつくっていきたいと考えています。

動画で見る、JPFの東日本大震災被災者支援

http://www.japanplatform.org/contents/movies/

プレスリリース&発行物

JPFプレスリリース

2016年9月27日発行
10月13日開催 ジャパン・プラットフォーム企業向けセミナー2016 「今だから求められる福島支援とは ~避難指示解除/子ども/産業/企業連携~」
2016年8月2日発行
「東日本大震災被災者支援」、被災地パートナーへの業務移行を本格化 : 岩手、宮城は地元NPOを支援する『共に生きる』ファンド助成を2016年度末で終了 助成対象団体 募集最終日は8月9日
2016年2月29日発行
『国際NGOと福島の談話タイム-忘れない、福島こころのケア続けるプロジェクト-』開催 ~コラボレーションで支援を語る【JPF談話シリーズ】第三弾!~
2015年11月22日発行
「国際NGOと福島の談話タイム-福島をコラボレーションで支える-」開催 ~2015年12月11日、六本木・富士フイルムフォトサロンにて~
2015年11月13日発行
福島支援の強化、2018年度末までの継続を目指す~宮城、岩手も、2016年度末までの支援継続を決定~

JPFニュースレター

2017年1月(vol.16)
避難指示解除がすすむ福島
2016年3月(vol.15)
6年目を迎える東日本大震災被災者支援

Story of Fukushima 福島(2014 JPF年次報告書より)

「本当に疲れました。今はただ惰性で生きている感じです」。東日本大震災後の2011年7月から、山形で避難生活を続けている鈴木晴子さん(仮名・38歳)は、4年半を振り返りため息をつきました。
続きを読む(PDFファイル 549KB)

寄付等で福島を支援する

JPF 東日本大震災被災者支援(福島専用)

http://www.japanplatform.org/support/tohoku.html

【受付期間を終了しました】LINEのドネーションスタンプ
「SMILE東北支援LINEキャラクターズ」でJPFに寄付

このたびLINEは、3月2日~4月4日の期間限定で、「SMILE東北支援LINEキャラクターズ」と呼ばれるLINE株式会社のキャラクターたちがキュートな笑顔を見せるスタンプを販売。その全売上が、福島県の被災者支援に取り組む3団体を含む、東北復興支援に携わる5団体に等分寄付されます。福島支援を強化しているJPFも寄付先団体のひとつに選んでいただきました。

SMILE東北支援LINEキャラクターズ東日本大震災発生時に大切な人と連絡がとりづらかった経験から、スマートフォンで身近な人とつながるコミュニケーションアプリとして2011年6月に誕生したLINE。「SMILE東北支援LINEキャラクターズ」のあたたかいスマイルには、つながる喜びが隠れているのかもしれませんね!スタンプを購入するチャンスは4月4日までです!

▼詳細は下記をご覧ください。
LINE公式ブログ
http://official-blog.line.me/ja/archives/69238911.html
LINEプレスリリース
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2017/1670

福島支援をご検討中の企業の皆様へ

企業や団体として、どのNGOや団体に寄付をすればよいかわからない、または自社のサービスや社員をなんらか社会貢献として役立てたい、企業とNGO/NPOの協働を検討している、そのようなご要望にお応えします。まずはご相談ください。
http://www.japanplatform.org/company/

福島で支援する人たちの生の声を聞く

JPFでは、福島の今の課題を、「共に生きる」ファンドを通して助成している現地の支援団体にインタビューした動画を作成し、課題解決のために企業様や団体様と共有できる場を設けています。お問い合わせはこちらへ。